所得税の計算方法




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4、所得税の計算方法



所得税トップ 1、所得税が変わった 2、給与明細の見方  3、社会保険料と所得税の役割
4、所得税の計算方法 5、社会保険の仕組みと役割 6、日本の税金の使い道
7、戻ってくるお金の話

・本来の計算を行っているのは『年末調整』

それでは、所得税からね。本当は1年間の収入に対して支払う税金(所得税)って、翌年の2月16日から3月15日までに自分達で税務署に納めに行かなくちゃいけないの。これを確定申告っていうんだけれど…

えっ?僕、行っていませんよ!先輩達も行ってない感じなんですけれど…

あぁ、大丈夫なの。まこと君たちサラリーの人達は、その所得を支払う会社が、支払の際に一定の税率で所得税を徴収して引いた金額で(手取り金額)渡しているから、それだけで納税が完結しているのよ。

な〜るほど〜、楽しているんですね、僕達。

そうね。給与の所得に関しては、また別の計算方法が国税庁から示されていて、その年の終わりに計算する“本来の所得税”とあまり違わないように、給与から毎月、引いているのよ。

なんだか複雑そうですね。

そう…かな。。でも、まこと君達に、所得税を引く前の金額を全部渡しちゃって、年末一気に『支払いなさい』って言われても困るでしょ?

ええ、貯めていないで使っちゃいそうですよ。

きっと、私だって使っちゃうわ。それに、国だってそれまで『所得税はお預け』なんて困るでしょうからね。後は年末に、1年間に納めるべき本来の所得税額と一致させるって訳。その手続きを年末調整というのよ。

ふ〜ん。年末調整…って?年末に調整…されていたんですか?僕達も?

えぇ、もちろんよ。調整って言うより、清算…ってイメージなんだけれどね。年末近くにみんな、グリーンの用紙に氏名とか記入して、しばらくしたら『年末調整分です』って、数万円の金額が振り込まれたか、現金で頂けたはずなんだけどな〜?

あ、頂きました!あれって、所得税の清算だったんですか…僕の場合、それでお金が戻ってきたんですか。

えぇ、そうよ。給与の所得に関しては、本来の所得税の計算とは別の計算方法が国税庁から示されている、って始めに伝えたでしょ?

あ、そうでした。

そもそも、その年にまこと君がいくら稼ぐかなんて、年の初めからわかると思う?

わっかんないですよね…それで、別の計算を取りあえずしておいて、年末にしっかり清算するって仕組みにしたんですね。

そういうこと。だから、サラリーの皆さんの所得税の仕組みを学ぶには年末調整を確認しなくちゃ学べないって話しになるわ。

よ〜く、わかりましたよ、ゆうこ先生。僕は、これから年末調整で行っている計算をゆうこ先生から学べば、自分達の所得税の仕組みもわかったことになるんですよね?

その通り!ノミコミが早いわ、まこと君。

いや…それほどでも。さぁ、教えてください、先生!

えっ…はい!頼もしすぎだよ、まこと君




・『年末調整』で所得税を学びましょう

それでは、まず、計算方法についての↓の表を見てください。

給与所得の計算方法

給与所得の金額=収入金額(総支給額)−@給与所得控除額(収入から引かれるもの)−A基礎控除、社会保険料控除など(所得から差し引かれるもの)

給与所得の金額×税率=所得税


なんだか、漢字が多くて難しそうだなぁ

あれ?さっきの意気込みはどこにいっちゃったの?所詮、国が作っている仕組みですからね、『難しそう』には見えるのよ。その内容について、一つ一つ順番に見ていきましょう。

出た!ゆうこ先生の辛口コメント。順番に見ていきますよ〜

まったく〜 進めますからね!まず、1年間に支払うべきことが確定した給与の合計額から @給与所得控除を引きます。給与所得控除というのはね、自営業の方にとっての必要経費。

必要経費って?

う〜ん、例えば、社員が営業のために使っている…会社の車のガソリン代とか、オフィスの電気・水道・ガス代や作業服、靴代など…たくさんあるわ。イメージはわかるでしょ?

ふーん、そうなんだ。ええ、わかります。

でも、サラリーのまこと君達が毎月、領収書とか保管して、把握して届け出ることも大変。それを個別に会社が計算するのも大変過ぎて…できないでしょ。だから、それに見合うものとして、一定の給与所得控除額はもう決められていて、給与等の収入金額から差し引く方法を取っているの。


給与所得控除額の算式
給与等の収入金額 給与所得控除額
162万5,000円以下の場合 65万円
162万5,000円を超え180万円以下の場合 収入金額×40%
180万円を超え360万円以下の場合 収入金額×30%+180,000円
360万円を超え660万円以下の場合 収入金額×20%+540,000円
660万円を超え1,000万円以下の場合 収入金額×10%+1,200,000円
1,000万円を超える場合 収入金額× 5%+1,700,000円
                         〔出典:国税庁HPより〕

なるほどね。そんなものがあったんですか。

えぇ、無かったら余りに自営業と比べて不公平ですものね。次に、A(基礎控除、社会保険料控除など)なんだけれど、社会保険料控除はわかるわよね?まこと君が支払った給与明細書に載っていた、いくつかの項目の合計よ。

はい、わかります。ここに書いてある厚生年金保険とか…ですよね。わからないのは、基礎控除なんですけれど…

そうね。これは、その人が養う必要のある人…妻とか、お子さんを持っていた場合などに、所得税額が少しでも軽くなる様に、この段階で引き算ができる控除というもの1つなの。誰も養って(扶養して)いない人でも引ける控除が基礎控除なのよ。

なるほど…ここで引くと…所得税を計算する時の金額が低くなりますもんね。

そういうことね!年末調整をもらう前に、グリーンの紙を提出しなかった?『給与所得者の扶養控除等申告書』っていう書類なんだけれど、所得税を計算するときに必要なの。その人が養っている家族が何人いるのか申告する用紙、と考えればよいわ。

出しました。なるほど…僕は上のほうに名前を書いて、印鑑を押しただけですけれど…独身だから、それだけでよかったんですね?

そういうことね。まこと君や独身の男女の場合は、そのパターンが多いかな。その他にも所得控除には、かなり種類があるから表にまとめてみたわ。どんな感想かしら?


平成18年7月1日現在の法律等に基づいて作成しています。↓
所得から差し引かれる金額(所得控除)
種類 控除を受けられる場合 金額
基礎控除 ”基礎”となる控除。全ての人に対する控除です 38万円
扶養控除 扶養家族がいる場合 扶養となる親族の年齢や状況により38万円〜98万円まで様々。例えば、16歳以上23歳未満ならば63万円
配偶者特別控除 あなたが合計所得1000万円以下で、配偶者の合計所得が38万円超、76万円未満の場合 配偶者の合計所得金額により最高38万円まで。合計所得が38万円以下や76万円以上の場合は0円
配偶者控除 生計を一にしている配偶者で、他の対象となる条件を備えている場合 配偶者の年齢や状況により38万円〜83万円まで様々
勤労学生控除 あなたが勤労学生である場合 27万円
障害者控除 あなたが控除対象配偶者、扶養家族が障害者である場合 症状により27万円と40万円があり
生命保険料控除 生命保険料や個人年金保険料の支払いがある場合 各10万円超の場合は一律各5万円。それ以下の場合は金額により3段階あり
損害保険料控除 火災保険料や損害保険料の支払いがある場合 内容、金額により相違。最高1万5千円まで
社会保険料控除 国民健康保険料(税)や国民年金保険料、介護保険料などの支払いがある場合 支払った保険料の金額
医療費控除 1年間に支払った医療費が、一定金額以上ある場合 最高200万円まで。内容については本章後半にあり
*税務署発行、所得税の確定申告の手引きを参照。
その他にも、雑損控除・小規模企業共済等掛金控除・寄付金控除・寡婦、寡夫控除等があります。

ありがたいです。ふ〜ん。すごく色々あるし、子供の年齢とかでも金額が違うんですね。

そうなの。同じ学生でも高校から大学となると、その学費負担も、小学校や中学校の比ではなくなるから、ね。

ちゃんと考えてくれているんだ。そういうところは嬉しいですね。




そうね。もう、今は大学生になる年齢の人口と全国の大学の募集人数が同じくらいか、大学からの募集が多いくらいだから…学費の必要な家庭って多いでしょう。あ、それから、まこと君は生命保険に加入しているでしょ。そうすると、生命保険料控除っていうものも受けられるのよ。保険会社から、この1年で支払う予定の金額です…っていうお知らせのハガキが手元に届いていなかった?

あ〜、あった!でも、総務から目隠し金額って言うですか?シールがついた、そのハガキもらって、金額を確認したら、また集められちゃいましたよ…『生命保険に入っているのはこれだけか?』って聞かれて、そうだって答えたんです。控除してくれたのかな?

多分、してもらっているわ。年末調整の詳細の紙をしっかり確認してみてね。会社とかを通さず、生命保険とか年金保険に加入している人も多いから、そういう人達はそれを集めて、年末調整の時に一緒に提出すると控除してくれる会社がほとんどよ。

じゃあ、僕もそうですね。よかった〜

まったく〜 よかったね

あ、はい…



後は、この所得控除と言われる様々なものを差し引いた金額に、所得税の税率掛けて税金の金額が求められるって流れになるわ。

あ〜これでやっと終わりですね!


所得税の税率
平成19年分からの税率 ↓
課税される所得金額 (千円未満切捨て) 所得税率 控除額
195万円以下 5%
0円
195万円超〜330万円以下 10%
97,500円
330万円超〜695万円以下 20%
427,500円
695万円超〜900万円以下 23%
636,000円
900万円超〜1,800万円以下 33%
1,536,000円
1,800万円超 40%
2,796,000円
                 〔出典:国税庁タックスアンサーHPより〕

う〜ん、今、住宅ローンを抱えていたりすると、また続きがあるんだけれどね…基本的には、ここで終了。その金額がその人にとって1年間に納めるべき所得税額になります。
去年までは最後に定率減税って名前の金額を計算して、求められていた税金の金額から直接差引されて終了〜! だったんだけれどね。定率減税については、定率減税の廃止で紹介したから、そちらを読んでください。





最終的に、毎月給与から引かれていた所得税の合計額が、正式に計算した1年間に納めるべき所得税額より多い場合には、その差額の税額が戻ってきます。

それが、僕達が年末にもらった金額ですね。

そうよ。でも、戻ってくる人ばかりではないわ。逆に、給与からの天引きでは、足りなかった人は、その差額の所得税額を会社を通して納める形になるの。

へ〜、そんな人、いるんですか?僕の周りではみんな戻ってきてたみたいですよ。

それは…がんばったことを評価された人に多いのかな。。高所得者は所得税率も高いでしょ。急に昇進して臨時ボーナスもらったり、予想外に残業が多かったり…そんなことが起きれば、一年通した金額にすると、ランクが上がっていて支払うことになるのよ。

は〜なるほど〜えっ?がんばり過ぎて?でも、それって悲しいですよ〜

そうよね〜でも、大抵は年末に戻せるように、国税庁も所得税率を考えて出しているはずよ。当然の権利なんだけれど、気分的に違うものね。年末に少しお年玉がもらえる感覚を皆に作れるように…って考えているのよ。

よかった。それって嬉しいですよね。年末に、お金を取られるのは悲しいですから…

そうね。これで、サラリーの方の所得税の流れは一通り終わりよ。一般的に、他の所得がない場合が多いから、勤務先で行われる源泉所得税の精算、いわゆる年末調整によって確定申告を行う必要がなくなる人がほとんどです。ただし…

例外があるんですね…

例外って訳ではないんだけれど…





・サラリーでも確定申告にいくパターン

自分自身や家族のために支払った医療費の一定の金額を、所得税を計算する時に引けるんです。医療費控除って言うんだけれど。その場合は、確定申告に自分で行かなくては、ね。具体的には、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費で、計算式はこんな感じね。


医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
   (実際に支払った医療費の合計額−イの金額)−ロの金額
イ  保険金などで補てんされる金額
 (例)生命保険契約などで支給される入院費給付金、健康保険などで支給される療養費・家族療養費・出産育児一時金など
ロ  10万円
 (注)その年の所得金額の合計額が200万円未満の人はその5%の金額

医療費…病院に行ったときのお金って戻ってくるんですね。

うん。まずは10万円以上ないといけないけれど、家族皆のものをまとめて請求できるしね。でも、生命保険や健康保険などからもらえる、入院費とかのお金は引く必要があるし、対象となる治療は無限ではないわ。注意した方がよいことと代表的な例だけ、表にまとめてみたから一緒に確認しましょう。

是非、お願いします!


 ・代表的な治療の例題
対象となる場合の治療 対象とはならない場合の治療
医薬品の購入 入院時に購入した寝巻き等、身の回り品
急患やケガなどで病院に運ばれる費用 健康診断の費用
入院中に支給される食事代 体調を整えるといった治療
ケガや病気の治療としてのあん摩
マッサージ指圧師の治療
ビタミン剤など病気の予防や健康増進の
ために用いられる医薬品の購入
一般的な歯の治療(金やポーセレン) 容ぼうを美化する目的の歯科矯正
介護保険施設を使って提供された、
一定のサービスの自己負担額
対象となる歯の治療のための
ローンにかかる金利・手数料

随分、広範囲なんですね。

そうでしょ。歯の治療だって、高価な材料を使用することが多いから、一般的水準を著しく超える、と認められる特殊なものは対象にならないけれど、すべてをあきらめる必要はないのよ。

は〜、奥が深い・・

反対に、対象とならないものには、『当たり前』って思える、入院中に取った出前や外食から、『微妙なもの』としては、個室に入院したときなどの差額ベットの料金、なんてものもあるわ。これは、本人や家族の都合ではなくて、医師の診療、治療を受けるために通常必要な費用かどうかで判断されるわね。

こうやって両方を聞いていると、納得って感じですね。

そうでしょう。結構、わかりやすいと思うの。もちろん、現在の超高齢化社会に沿った、介護保険制度を使ったサービスにも及んでいるわ。

ほんとうですね。幅広いですね〜。僕のところは、まだ、おじいちゃん達も元気ですけど…

それは良かった。健康が何よりよ。若者もいれば高齢の人だっているんだもの。そのくらい国も考えてくれなければ!

ゆうこ先生って国に対しても辛口ですよね・・

『も』って何よ!でも、そうね、基本辛口だわね。だって、税金を、感謝したくなるくらい上手な使い方、してくれている実感があまりもてないのよ。

まぁまぁ…きっと勉強して分かってくると僕も同じこと思うんでしょうか…

えぇ、きっと、ね。でも、知っておくことがまずは肝心。だから、続けましょう…

はい、先生。

その他でも、サラリーで確定申告をしなくてはいけない人っているのよ。

えっ?どんな人ですか?

給与の年間収入金額が2000万円を超える人、とか、1ヶ所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える人、とかなんだけれどね。

は〜、僕にはまったく必要無さそうな知識ですね…

これこれイジケないの。ここらでこのテーマは終了しましょうか。

はい、もう十分。お腹いっぱいの気分です。

はいはい、それでは次、ね

  Illustrated by SHAO



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