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Q:社会保険って何のためにあるの?
A:社会保険は、助け合いの制度。私たちの暮らしにとても密接な関わりを持っています。
1)暮らしを支える3つの社会保険制度
社会保険は、病気やけがに備える健康保険、生活を支える年金保険、働く環境を守る労働保険の3つがあります。皆さんの給与明細から健康保険料・年金保険料・雇用保険料という名前で天引きされていますからご存じですよね!?それぞれの制度の主な役割は以下の通りです。
会社員の社会保険制度
健康保険
病気やけがで病院に行った時私たちが窓口で支払う金額は実際にかかった医療費のうちの3割です。つまり7割が健康保険の財源から支払われているのです。しかも個人負担する医療費は1カ月約9万円(一般の場合)と上限が決まっていてその上限を超えた部分は払い戻しがされますし(高額療養費制度)、病気やけがで会社に行けなく給与がカットされた時でも、給与の3分の2が傷病手当金として健康保険から受け取ることができます。
年金保険
年金保険は、以下3つの状態になった時に受ける生活保障です。
・重い障害になった時障害年金:障害の状況に応じて、障害年金を受け取ることができます。受取額は自分が負担した保険料に応じて変わります。
・家計の働き手が亡くなった時遺族年金:働き手が亡くなり経済的に困窮する家庭を対象に遺族年金が支給されます。高校を卒業するまでの子供に対して年間約100万円が支給される他、会社員の妻は夫が将来もらうはずであった老齢厚生年金の4分の3がもらえるなどがあります。
・高齢になった時老齢年金:以前は60歳が年金受給開始年齢でしたが、男性で昭和36年4月2日生まれ、女性で昭和41年4月2日生まれ以降は65歳に年金受給開始年齢が引き上げられました。会社員は、国民年金と厚生年金そして勤め先によってはさらに企業年金が受け取れます。
雇用保険
会社を辞めた時に受け取る失業保険です。仕事を探している間の生活保障(失業給付)だけではなく、自己啓発の支援(教育訓練給付金)や就職の条件が厳しい高齢者の就職支援(就職促進給付)などがあります。
2)会社員の支払う保険料は労使折半
会社員が加入する社会保険制度は、会社と会社員が合同で保険料を負担することになっています。健康保険料と厚生年金保険料は労使折半(2分の1ずつ負担すること)ですが、雇用保険は会社側の負担の方が重くなっています。
健康保険
平成20年10月現在の健康保険料率は8.2%(40歳以上は介護保険にも加入するので9.33%)です。4・5・6月の給与を平均した額(標準報酬月額)にこの料率を掛けさらに2分の1した金額が会社員が負担する額です。なお会社によっては、組合健康保険に加入している場合もあり、その場合の保険料は異なります。
例:標準報酬月額20万円x8.2%÷2=8,200円←給与天引きされる保険料
年金保険
健康保険同様に4・5・6月の給与を平均した額(標準報酬月額)をもとに計算されています。平成20年10月現在の厚生年金保険料率は15.35%です。給与明細では厚生年金保険料として保険料が控除されていますが、会社員は厚生年金保険と国民年金保険の2つの制度に加入しています。この保険料は毎年少しずつ引き上げられ、平成29年度には18.3%(労使折半)になる予定です。
例:標準報酬月額20万円x15.35%÷2=15,350円←給与天引きされる保険料
雇用保険
雇用保険の保険料率は1.5%で、その内訳は会社側が0.9%、会社員が0.6%です(一般の事業の場合)。雇用保険は、毎月の給与(残業代や諸手当を含める)に料率をかけて差し引かれます。
例:給与 20万円x0.6%=1,200円←給与天引きされる保険料
計算式 | 保険料率 | 会社負担 | 会社員負担 | |
健康保険 | 標準報酬月額x保険料率 | 8.2% | 4.1% | 4.1% |
年金保険 | 標準報酬月額x保険料率 | 15.35% | 7.625% | 7.625% |
雇用保険 | 給与x保険料率 | 1.5% | 0.9% | 0.6% |
3)給与が増えるとたくさんもらえる老齢年金
会社員は国民年金と厚生年金の2つの年金制度に加入していますので、将来もらえる年金も国民年金と厚生年金の2つの制度から受給します。このうち厚生年金は、会社員時代の平均給与額(入社から退職までの平均)に応じて将来受け取る年金額が違います。つまり給与が高ければ支払う保険料も高くなりますが、その分将来もらえる年金額も多いのです。
また老齢年金をもらう為には、20歳から60歳までの40年の間に、保険料を支払った年月が25年以上必要というルールがあります。つまりいくら会社員として頑張って働いて保険料を納めていても、年金未加入の期間が延べ15年を超えると年金を1円ももらえないのです。
老齢年金をいくらもらえるかは、社会保険庁で試算することができます。あくまでも「試算」で約束されたものではないのですが、自覚を高めるためにも一度確認しておくと良いですね。
この記事を書いた専門家
ワイズライフFPコンサルタント
山中伸枝
ファイナンシャルプランナー
一級ファイナンシャルプランニング技能士
得意分野
年金と資産運用
受け付けている相談内容
資産運用(プランから商品提供まで)
保障設計(保険証券診断から保険商品提供まで)
ライフプラン、住宅ローンなどくらしとお金に係る心配事全般。
著書